文章3

　　狹くて暗いでこぼこ道を、小雨交じりの冷たい風に吹かれて歩いていると、向こうから自転車で來た青年から、41すれちがいざまに、「今晩は�！工嚷暏颏�けられた。私は42不意をつかれた。未知の通行人に挨拶する習慣は、都會地に住む私の経験にはない。この地方の人は、とっつき(開始)は荒っぽいが、根は親切だ、と聞かされていたことを43思い出した。

　　狹い道をいっそう狹めて、旅館、小店、造船所などが並んでいる。造船所といっても、木造船を造る小規模なものばかりで、家と家の間の空き地に、建造中の、それでも、見上げるほど高い船體が、夜空をほの白くくりぬいていた。

　　私は、入り江の奧の橋を渡ってしばらく歩いていてから、燈火の明るい呼子(よぶこ)の町にひき返し、橋の近くの小さな旅館に泊まった。客なれしない感じの女中さんが、入り江の見おろせる二階の一室に案內して(　44　)。彼女は、私の著物のすそに泥がはねあがっているのを見つけて、「落としておきますから。」と、45それを持ち去っていった。

　　41.「すれちがいざま」と最も意味の近いものは次のどれか。

　　A　すれちがおうとしているとき

　　B　すれまちがおうとしているとき

　　C　すれちがうようにしているとき

　　D　すれちがう様子

　　42.「不意をつかれた」のはなぜか。

　　A　筆者は田舎に住んでおり、この地方の習慣がないから。

　　B　都會生まれの筆者はこの地方の生活に慣れないから。

　　C　筆者は都會に住んでおり、未知の通行人に挨拶する習慣がないから。

　　D　筆者は田舎に住んでおり、知っている人にだけ挨拶する習慣があるから。

　　43.「思い出した」人は次の誰か。

　　A　未知の通行人

　　B　筆者

　　C　青年

　　D　この地方の人

　　44.(　44　)に入れるものとして、次のどれが適當か。

　　A あげた

　　B もらった

　　C くれた

　　D いただいた

　　45.「それ」は何を指しているか。

　　A 落としておくもの

　　B すそ

　　C 泥

　　D 著物

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